2017年5月2日火曜日

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「あたくしたち、初対面ですのよ、アレクセイ・フョードロウィチ」と、「カテリーナ」は感きわまったように口走りました。「あたくし、この人を知りたくなって、お会いしたくなって、お訪ねしようと思いましたの、でも、そうお願いしたらすぐ、この方がご自分から来てくださったんですわ。この方と二人でやれば、何もかも解決できるって、あたくしにはちゃんとわかっていましたわ、何もかも!そんな予感がしてましたの・・・そんな行為は思いとどまるよう、しきりに言われたのですけど、結果は予感していましたし、間違ってもいませんでしたわ。グルーシェニカが何もかも説明してくれたんですの、ご自分の心づもりをすっかり。この方、親切な天使のように、ここへ飛んでらして、平和と喜びをもたらしてくださったんですわ・・・」

「あなたはあたしを軽蔑なさいませんでしたもの、やさしい立派なお嬢さまですわ」

相変わらず例のかわいらしい嬉しそうな微笑をうかべたまま、「グルーシェニカ」がうたうようにゆっくりと言いました。

「あたくしにそんな言葉をおっしゃたりなさらないで。あなたのように魅力にあふれるお方が!あなたを軽蔑するですって?それじゃ、あなたの下唇にもう一度キスしますわ。あなたの下唇はほんとにふっくらしているのね、もっとふっくらするように、ね。もっと、もっと・・・この方の笑顔をこらんなさいな、アレクセイ・フョードロウィチ。この天使をみていると、心が明るくなりますわね・・・」

「アリョーシャ」は顔を赤らめ、目立たないくらい小刻みにふるえていました。

「あたしを甘やかしてらっしゃいますわ、やさしいお嬢さま。でも、あたしはお嬢さまにやさしくしていただく値打ちなんか全然ない女かもしれませんわ」

本来なら敵対する相手同士であるはずの二人ですが、ここではうまくやっているようです。

お互い本心を隠して相手の出方を伺っているのでしょうか、よくわかりません。


ただ、「カテリーナ」はものごとをはっきりとさせたい性格であり、かと言って論理的というのでもなく、むしろ感情的でさえあるような気もします。


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