2017年6月13日火曜日

439

「ああいうやさしいお嬢さんに限って、あんな男を好きになるもんさ、道楽者か卑劣漢をな!お前に教えとくが、ああいう生白いお嬢さんは最低だよ、そこへいくと・・・いや!もし俺にあいつの若さと、あの当時の男前がありゃな(俺が二十八のときにゃ、あいつよりずっと男前だったからな)、そうすりゃあいつと同じように勝利をおさめているんだが。悪党だよ、あいつは!しかし、どのみちグルーシェニカは手に入りっこないんだ、入るもんかい・・・泥にまみれさせてやる!」

最後の言葉あたりから、彼はまた激昂しました。

「お前ももう行け、今日はここにいたって何もすることはないよ」彼はぴしりと断ち切るように言いました。

「アリョーシャ」は別れの挨拶をするために歩みより、父の肩に接吻しました。

「どうしてそんなことをする?」老人はいくらかびっくりしました。「どうせまた会うのにさ。それとも、これが見おさめだとでも思ってるのか?」

「とんでもない、ただなんとなく、はずみでしただけです」

「俺だってべつに、ただなんとなく言ったまでさ」老人は「アリョーシャ」を眺めました。

伏線が張り巡らされていますね。

「あのな、おい」彼は「アリョーシャ」のうしろ姿に向って叫びました。「近いうちにやってこいよ、魚スープを食いにな、魚スープを作ってやるから。今日みたいのじゃなく、特別のをな、必ず来るんだぞ!そう、明日だ、いいな、明日来いよ!」

魚スープというのは、鱘魚(ちょうざめ)のスープでしょうか。

(434)で「俺自身も今日は精進スープだけでおとなしくしてるんだから」と「フョードル」が言っていますのでここで「今日みたいのじゃなく」と言っているのですね。

そして、「アリョーシャ」が戸口から出るやいなや、また戸棚に歩みより、さらにグラス半分ほどあおりました。


「これ以上は飲まんぞ!」彼はつぶやき、咽喉を鳴らすと、また戸棚を閉めて、鍵をまたポケットにしまったあと、寝室に行き、弱々しくベッドに横たわるなり、一瞬のうちに眠りに落ちました。


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