2018年12月1日土曜日

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「何もかも自白なさったりすれば、あなたはあまりにも恥さらしなことになりますよ。何より、まるきりむだですよ。なぜって、わたしははっきりこう言いますからね。あなたにそんな話をしたおぼえはない、あなたはご病気のせいか(たしかにそうらしいですしね)、でなけりゃお兄さまを気の毒に思って、ご自分を犠牲になさったうえ、わたしにでっち上げの罪を着せたんだ、それというのも今までずっと、わたしを人間と見なさず、どうせ蝿くらいにしか見ていないからなんだ、とね。それに、あなたの話をいったいだれが信用しますか、あなたにたとえ一つでも何か証拠がありますか?」

これはもう、本人を前にした脅しですね。

「おい、おの金を俺に今見せたのは、もちろん俺を納得させるためだろうが」

「スメルジャコフ」は札束の上から「イサク・シーリン」の本をとり、わきへどけました。

「この金を受けとって、お持ち帰りください」

「スメルジャコフ」は溜息をつきました。

「もちろん持って行くさ! しかし、この金ほしさに殺したとしたら、なぜこれを俺によこすんだ?」

深いおどろきをこめて、「イワン」は彼を見つめました。

「わたしにはこんなもの、全然必要ないんです」

片手を振ると、「スメルジャコフ」はふるえる声で言いました。

「前にはそういう考えもございましたよ。これだけの大金をつかんで、モスクワか、もっと欲を言えば外国で生活をはじめよう、そんな考えもありました。それというのは、『すべては許される』と考えたからです。これはあなたが教えてくださったんですよ。あのころ、ずいぶんわたしに話してくれましたものね。もし永遠の神がないなら、いかなる善行も存在しない、それにそんなものはまったく必要がないって、あなたは本気でおっしゃってたんです。だからわたしもそう考えたんですよ」

「自分の頭で到達したのか?」

「イワン」はゆがんだ笑いをうかべました。

「あなたの指導によってです」

「してみると、金を返すからには、今度は神を信じたってわけだな?」

「いいえ、信じたわけじゃりません」

「スメルジャコフ」はつぶやきました。

「じゃ、なぜ返す?」

「もうたくさんです・・・・話すことはありませんよ!」

「スメルジャコフ」はまた手を振りました。

「あなたはあのころ、すべては許されると、始終言ってらしたのに、今になってなぜそんなにびくついているんです。ほかならぬあなたが。おまけに自分に不利な証言までしに行くなんて・・・・ただ、そんなことにはなりませんけどね! あなたは証言しに行ったりしませんよ!」

「スメルジャコフ」はまた確信ありげに断固として言いました。

なぜ、確信があるのでしょうか、それともそんなことを言うことによって暗示をかけているのでしょうか。

「まあ見ていろよ!」


「イワン」は言い放ちました。


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