修道院に入った訪問者一向が案内もなく、とまどっているところへ、トゥーラの地主で六十歳くらいの「マクシーモフ」が声をかけてきました。
彼は髪もだいぶ薄くなっており、スプリングコートを着ており、やけに愛想のいい目をして近づいてきました。
そして、帽子を軽くあげて挨拶したあと、甘たるい舌たらずな発音で自己紹介しました。
「トゥーラ」とは、「モスクワの165 km南、ウパ川沿いに位置するヨーロッパロシアの産業都市で、トゥーラ州で最も人気のある観光地は、作家レフ・トルストイの家と墓地のあるヤースナヤ・ポリャーナである。そこは、この街からほんの14キロメートル南西に位置している。トルストイは、名高い『戦争と平和』や『アンナ・カレーニナ』をそこで著した。」
ついでに「スプリングコート」とは「春・秋用の薄地の外套 (がいとう) 。合コート。」
まだ、これだけでは、地主の「マクシーモフ」の容貌ははっきりしませんね。
そして、彼は訪問者一向の気になっていることを話しはじめます。
「ゾシマ長老」は僧庵にこもって暮らしていて、場所は修道院から林をぬけて四百歩ほどのところだと、一行の知りたがっていたことを話します。
四百歩とは何メートルくらいでしょうか、疑問に思っていたところ、真偽のほどはわかりませんが、ネットに詳しい説明が載っておりました。
掲載されていたのは百歩の例ですが、それによりますと、以下のとおりです。
■ゆっくり歩き 身長×0.37 (もしくは2足分)
■普通歩き 身長×0.45 (もしくは2.5足分)
■早歩き 身長×0.50 (もしくは3足分)
したがって身長を175cmとした場合、
普通歩きでは、100歩=【78.75m】となります。
早歩きでは、100歩=【87.5m】。
ゆっくり歩きでは、100歩=【64.75m】となります。
ですので、100歩は約【65m~88m程度】ですね。
以上だとすると、四百歩はだいたい315メートル前後くらいでしょうか。
この修道院に来たことのある「フョードル」も黙っていません、「林をぬけていく行くってことは私も知ってるんだがね」と、ひとこと口をはさみます。
そして、自分はずいぶん来ていないので、道がよく思い出せないのだと。
実際に、「フョードル」が千ルーブルの喜捨をした時に「ゾシマ長老」の僧庵まで行ったのでしょうか、それはわかりません。
結局、地主の「マクシーモフ」のせっかちな促しの言葉で、一同は門を出て林の中をすすんでいきました。
地主の「マクシーモフ」は、「ほとんど信じられないほどの気ぜわしい好奇心をこめて一同を子細に眺めながら、横の方を歩く、というよりむしろ走っていた。その目に、なにか出目のような感じがあった。」
この「出目のような感じがあった。」とは、どういう意味なのか、私にはわかりませんでした。
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