地主の「マクシーモフ」は話しかけながら一行について僧庵に行こうとしている様子ですが、いったいどういうつもりなのでしょう。
「ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ」もたぶんそう思ったのでしょう。
「・・・わたしらは内輪の用事で・・・ご案内はありがたく思いますが、入るのはご遠慮いただきます」と、きびしい口調で注意しました。
ずいぶんときっぱりと言いますね。
それに対し、地主の「マクシーモフ」は「わたしはもう行ってきたんですよ、ええ、もう行ってきたんです・・・完全無欠な騎士ですな!」と答えましたが、彼の言葉はここでもそうですが、いつもあたふたして、言葉たらずで何を言っているのかわかりません。
「ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ」もそう思ったのでしょう。
「だれが騎士ですって?」と聞き返しました。
地主の「マクシーモフ」は、「ゾシマ長老」のことをそのように言って、感嘆のあまりなのかわかりませんが、長老をひどくほめたたえます。
そこに、「頭巾をかぶった小柄な、ひどく青ざめてやつれはてた」一人の修道僧が一行に追いつきました。
そして、要領を得ぬ地主の「マクシーモフ」の言葉をさえぎりました。
「フョードル」と「ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ」は立ち止まりました。
修道僧は、丁寧な最敬礼に近いおじぎをして、僧庵での用件が終わってから食事を提供するとの修道院長の言葉を伝えました。
そして、「・・・あなたもどうぞ」と修道僧は地主の「マクシーモフ」にも声をかけました。
「フョードル」は食事の招待を「ぜひ伺いますとも。」とたいへん喜んで同意しました。
そして、「・・・実は、わたしども、ここでは礼儀正しく振舞おうと約束したようなわけでしてね・・・あなたもいらっしゃるでしょう、ミウーソフさん?」と同意を促しました。
そして、「・・・実は、わたしども、ここでは礼儀正しく振舞おうと約束したようなわけでしてね・・・あなたもいらっしゃるでしょう、ミウーソフさん?」と同意を促しました。
もちろん彼も、ここの慣習を残らず見てゆきたいという思いがあるので同意しましたが、「・・・ただひとつだけ頭の痛いことがあるんですよ。つまりね、あなたといっしょだってことです。フョードル・パーヴロウィチ」と付け加えます。
「そう、ドミートリイはまだ来とらんし」と「フョードル」は言います。
ずいぶん、とんちんかんな会話ですね。
「ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ」は「フョードル」といっしょに食事をとることが自分にとっては頭が痛いことだと本人に直接言っています。
「フョードル」はあきらかに侮辱されていると思うのですが、いったい二人はどういう関係なのでしょうか。
むしろ、「ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ」の方が、「フョードル」たちの話に乗せてもらっているので、そんなに偉そうな口をきけないと思うのですが、この町では、「フョードル」の道化ぶりは当たり前のこととしてみんなに知れわたっているのでしょう。
「フョードル」は反論するでもなく、「そう、ドミートリイはまだ来とらんし」と訳のわからないことを言います。
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