「それは大いにありうることだぞ!」
「アリョーシャ」はすっかり興奮して叫びました。
「ありがとう、スメルジャコフ、重大な知らせだよ、今すぐそこへ行ってみよう」
「裏切らないでくださいまし」
裏切る人間に限って、このようなことを言うものですね。
「スメルジャコフ」が追いかけるように言いました。
「ああ、しないとも。飲屋へは偶然寄ったようなふりをするから、安心していていいよ」
「まあ、どちらへ? 今、木戸を開けますのに」
「マリヤ」が叫びかけました。
「アリョーシャ」は飲屋へは偶然寄ったようなふりをして行くと言っているのに「マリヤ」は今の会話をちゃんと聞いてなかったのでしょうか。
「いえ、こっちのほうが近いですから、また生垣を乗りこえます」
この知らせはひどく「アリョーシャ」を動揺させました。
彼は飲屋に急ぎました。
僧服で飲屋に入るのは、はしたない真似でしたが、階段のところで問い合せて、よびだすこともできるはずでした。
だが、飲屋に近づいたとたん、ふいに一つの窓が開いて、当の「イワン」が窓から彼に声をかけました。
「アリョーシャ、今すぐここへ入ってこられないか、どうだい? すごく恩に着るがね」
「いいですとも、ただこんな服なので、どうしたものかわからないんですが」
「ちょうど僕は個室にいるんだ、表階段をあがってこいよ、迎えにおりて行くから・・・・」
一分後に「アリョーシャ」は兄とならんで坐っていました。
「イワン」は一人で食事をしているところでした。
今朝八時ごろ「スメルジャコフ」が伝言を伝えに行ったとき留守であった「ドミートリイ」はまだ来てないのですが、大家さんは伝えることができたのでしょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿