2016年12月4日日曜日

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彼は林道の両側にそびえる千古の松を眺めました。

道はせいぜい五百歩くらいでした。

「千古の松」とは大げさな表現ですね、「五百歩」は400mくらいです。

この時間、つまり昼食時前後ですが、誰もこの道は通らないはずではありましたが、小道の最初の曲り角でだれかを待ち受けているらしい「ラキーチン」の姿がありました。

「僕を待ってたんじゃないの?」と「ラキーチン」と並ぶと「アリョーシャ」はたずねました。

「まさしく君をさ」と「ラキーチン」はにやりとしました。

そして、「院長さんのところへ急いで行くところだろ。知ってるよ、会食だってね。大主教とパハートフ将軍とをお迎えしたあの時以来、こういう会食はついぞなかったな。僕は行かないけど、君は行って、ソースでも注いでまわれよ。ところで、一つだけききたいんだけどさ、アリョーシャ、あの夢はいったいどういう意味なんだい?それをききたかったんだよ」

「パハートフ将軍」はネットで調べても出ていませんでした。

「ラキーチン」はここで、「アリョーシャ」も疑問に思いながらも長老に聞けなかった、そして読者にも明確には知らされていないあの謎の跪拝のことを聞きます。

そして、作者はこのあと「ラキーチン」を通して、この物語の種あかしとも言えるような発言をさせます。

それは、読者がうすうす感じていることなのですが、ここで作者は明確にそれを提示してみせ、読者の予測の先回りをしているのです。

「何の夢さ?」と「アリョーシャ」が聞きます。

「ほら、君の兄さんのドミートリイに対するあの最敬礼さ。おまけに、おでこをぶつけてたじゃないか!」と。

「ゾシマ長老の話?」

「そう、ゾシマ長老のことさ」

「おでこを?」


「あ、失礼な表現だったな!なに、失礼でもかまうもんか。ところで、あの夢は何を意味してるんだい?」


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