2018年4月9日月曜日

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「ジプシーの話はこのごろとんとききませんですね、ドミートリイの旦那。警察が追い払っちまったんでさ。でも、この辺にはユダヤ人がいて、シンバルをたたいたり、バイオリンをひいたりしています。ロジェストヴェンスカヤ村にいますから、なんなら今から迎えにやってもよろしゅうございますよ。あの連中ならやってきますから」

「よびにやれ、ぜひよぶんだ!」

「ミーチャ」は叫びました。

「それから、いつぞやみたいに娘たちをたたき起してもかまわんぞ。特にマリヤをな。それに、ステパニーダや。アリーナもだ。コーラスに二百ルーブル出すから!」

よく彼女たちの名前を覚えていますね、そして二百ルーブル=二十万円を出すとは驚きます、法外な値段ではないでしょうか。

「そんな大金をいただけるんでしたら、たとえ今ごろもう寝床に入っていようと、村じゅうの者をたたき起してきまさあ。ですが、ここらの百姓どもが、それほど甘やかしていただくほどの値打ちがございましょうかね、ドミートリイの旦那、娘っ子にしても? あんな卑しいがさつな連中に、そんな大金をお払いになるなんて! ここの百姓は葉巻なんて柄じゃないのに、旦那は振舞っておやりになるんだからな。あの盗人どもは、いやな匂いをさせてますしね。娘っ子たちにしたって、何人くるか知りませんが、どいつもこいつも虱たかりだし。わたしゃ、うちの娘どもをただで起してまいりまさあ。そんな大金を目当てにじゃなく、今しがら寝床に入ったばかりですから、背中を蹴とばして、旦那のために歌でもうたわせましょう。この前は百姓どもにシャンパンを飲ませたんでしたっけね、まったく!」

「トリフォン」は要らぬ同情を「ミーチャ」に示しました。

そういう彼自身、この前はシャンパンを半ダースほども猫ばばしたのだし、テーブルの下に落ちていた百ルーブル札を拾いあげて、拳に握りしめました。

その札はそのまま握りっぱなしだったのです。

「なあ、トリフォン、あのときここで俺がばらまいたのは、千ルーブルじゃきかなかったろうが。おぼえてるか?」

「派手にお使いになりましたからね、忘れるはずがございませんよ、旦那。たぶん三千ルーブルはここに落としてらしたでしょうよ」

「今度もそのつもりで来たんだ、ほら」

こう言うと彼は札束をぬきだして、主人の鼻先へつきつけました。

「いいか、よくきいて、呑みこんどけよ。あと一時間もするとぶどう酒がくる。前菜や、ピロシキや、お菓子もだ。そしたら、すぐに全部上に運んでくれ。それから、アンドレイのところにあるあの箱も、今すぐ上に運んで、開けるんだ。そしてすぐにシャンパンを出してくれ・・・・それと、肝心なのは娘たちだぞ、マリヤは必ずよべよ・・・・」


「ドミートリイ」の頭の中には前回のどんちゃん騒ぎのいい思い出があり、それを反復しようとしていますが、うまくいくのでしょうか。


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