子供を置いて男とペテルブルグへ逃げた「アデライーダ」は、自由奔放な生き方をしたとも言えるかもしれませんが、それも長くは続かず、どこかの屋根裏部屋で死んでしまいます。
死因は、はっきりわからず、チフスとか餓死とかという話が実家に入ったと言いますので、いずれにせよ、みじめな状態ではあったのでしょう。
「アデライーダ」の死を知った「フョードル」は、ペテルブルグへに出発するための「元気づけ」のまっ最中でした。
その際に彼のとった行動にはふたつの噂があります。
ひとつは往来を走り出し、嬉しさのあまり両手を空にかざして、福音書の一節を叫んだという噂、もうひとつは、幼い子供のようにおいおいと泣きじゃくり、いじらしいほどだったという全く正反対で両立しない噂です。
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