当時は、結婚のときに女性は持参金などを渡すというのが常識だったのでしょう。
「ソフィヤ・イワーノヴナ」は結婚を反対されましたから、そんなものはありませんでした。
それに、「フョードル」の方は勝手に、首を吊るほどの悪状況から彼女を助け出してやったのだと思い上がっていました。
そんなことで彼は「ソフィヤ・イワーノヴナ」が負い目を感じて《うしろめたい》気持ちでいるのをいいことに、さらに、「めったにみられぬほどの彼女の素直さやおとなしさをいいことに」好き放題をはじめるのです。
なんということか、家へ、それも妻がいるところへ、いかがわしい女たちを呼んで、乱痴気騒ぎをしたのですから驚きます。
以前に「アデライーダ」が男と出て行ったときにも、やけになり「わが家に完全なハレムと、放埓きわまる酒盛りをくりひろげ」ていましたが、今度は新たしい夫人が在宅中にそうのようなことをしたのです。
以前に「アデライーダ」が男と出て行ったときにも、やけになり「わが家に完全なハレムと、放埓きわまる酒盛りをくりひろげ」ていましたが、今度は新たしい夫人が在宅中にそうのようなことをしたのです。
このとんでもない行為や、一連の一貫した悪を実行してみせる「フョードル」には、何かわかりませんが、自分なりの論理とういうか、言い訳があるのでしょう。
これは人の気持ちを考えないというより、そんな常識や世間体のようなことに対して、楯つく行動です。
彼は、世の中を恨んでいるのでしょうか、それもあるかもしれません。
しかし、自分の妻や子に対する今までの行為をみても、彼の心の中にはもっと別の種類の、深い、暗い何かがあるように思います。
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