ここで、作者が「特徴的な一面なので記しておきたいのだが」と前置きしているのは召使の「グリゴーリイ」のことです。
彼は3歳の「ドミートリイ」を引き取ったこの家の親切な忠僕ですが、ここでは、気の毒に「例の陰気で愚かで、意固地な理屈屋の召使」と形容されていますので、そのような一面もあるのでしょう。
彼は、先夫人の「アデライーダ」を目の仇にしていたそうですが、新夫人「ソフィヤ・イワーノヴナ」については「味方について、彼女をかばい、召使としては許しがたいくらいの態度でフョードルに盾つき、一度なぞは、乱痴気騒ぎを打ちきらせ、集まっていたいかがわしい女どもを力ずくで一人残らず追い返したことさえあった。」そうです。
そこまでして、主人に反抗して「ソフィヤ・イワーノヴナ」をかばうということは、哀れな彼女に対して、自分の心の琴線に触れるような何か深い想いがあったのかもしれません。
3歳の子供を引き取ったときもそうでしたが、「グリゴーリイ」はかわいそうな立場に置かれた人に手を差し伸べるよき人物であると思いますが、この古くからの召使は主人の「フョードル」のことをどう見ていたのでしょうか。
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