2016年5月12日木曜日

42

「イワン」は財産があるにもかかわらず、苦学生となったわけです。

そして、そんな状態であっても、父親に頼ろうとすらしませんでした。

父親に手紙を書くこともしなかったそうですが、これは借金を作って父親のところに乗り込んできた長男の「ドミートリイ」と対照的です。

「イワン」が父親に頼ろうとしなかったことについては、作者は「ここで指摘しておかなければならないのは、」とわざわざ前置きをしてそう書いています。

ちょっと、横道に逸れるのですが、作者は今までもこのような前置きというか、読者に直接話しかけるような言葉をよく使っています。
たとえば、「これは注目すべきである」とか「記憶しておく必要がある」とか「ここで特徴的な一面として記しておきたいのだが」とか「この点をわたしは読者に最初から心にとめておいていただきたいと思う」とかです。
そのように作者から言われると読んでいる者は、一瞬ドキリとするのですが、あらためてその意味するとこが今後の展開の中でどのように絡んでくるのかなどと想像をめぐらせます。

元に戻りますが、なぜ「イワン」は父親に頼ろうとしなかったのかは、自分のプライドからか、父に対する軽蔑からか、今までのことを考えて援助など得られないと冷静に判断したのか、はっきり書かれていませんがそのようなことなのでしょう。

とにかく、大学生「イワン」は働くのです。


0 件のコメント:

コメントを投稿