作者は今まで、作中の「わたし」を介して、「イワン」の帰郷の理由については「謎」であると強調してきました。
しかしここで、突然あっさりとその訳を書いています。
それは「あとになってやっとわかったことだが、」という前置きを付けての説明です。
その訳は「イワンが帰ってきたのは、ある意味では長兄ドミートリイの頼みと用件によるものだった。」と。
これは、省略されて書かれていませんが、「わかった」のは「わたし」ですね。
少し前に、その同じ「わたし」はそれを「その後永いこと、ほとんど終始、理解しえぬ問題でありつづけた」と書かれてあり、その「わたし」が、その少し先の文章では「あとになってやっとわかった」と言うのですから不思議ですね。
普通なら、こんな書き方をしないで、前の文章を書きなおした方が自然な流れになると思いますが、後からそのことの正当性を補足しようと無理をしているようにもみえます。
作者は書きなおすのが嫌いだったのでしょうか、それとも書きなおせない理由があったのでしょうか、または意図的なものでしょうか。
それにしても「あとになって」とはいつでしょう?
いえいえ、そんなことよりも「長兄ドミートリイの頼みと用件」とはなんでしょう?
その前に「ある意味では」と付け加えられているのはどういうことでしょう?
私にとって謎は広がるばかりです。
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