「謎」の多い「イワン」の帰郷ですが「父を相手に大喧嘩をもくろみ正式の訴訟さえ考えていた長兄ドミートリイと父の仲裁者か調停者」といった様子だったそうです。
まあ、確かにはじめはそうだったかもしれませんが、その後の「イワン」の行動は、これから起こるいろいろな事情によって腰砕けのようになっていくのです。
作者は「くどいようだが」と前置きして、「この家族はこのとき生涯ではじめて全員が一堂に集まった」そして、「生まれてはじめて顔を合わせる者もいた」と書いています。
いよいよ物語の中心となる人物がひとつの舞台に登場しましたね。
と言ってもここでは、「フョードル」と「ドミートリイ」と「イワン」と「アレクセイ」のカラマーゾフ一家だけですが。
各人それぞれの背景がかなり詳細に描かれていましたので、生き生きと彼らのイメージを想像できるのですが、この小説の主人公と作者がいう「アレクセイ」だけは、まだ十分に紹介されていません。
彼は、一年ほど前からこの町で暮らしておりましたので、兄弟の中では一番早く登場したことになります。
そして、作者は「わたし」という名称で、「未来の主人公」の「アレクセイ」について、この「序文的な物語」で語るのがいちばんむずかしいとことと言っています。
それは、そうでしょう、彼は登場時すでに僧衣を身につけての登場でしたので。
「アレクセイ」は一年近くこの町の修道院で見習い僧として暮らしており、「生涯そこに身を埋めるつもりでいるように見えた」といいます。
当然、なぜ見習い僧になったのか、彼についても説明が必要になります。
そして、次の章は「アレクセイ」の愛称「アリョーシャ」として紹介されます。
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