「フョードル」の独白めいた会話は「あの長老は、もちろん、あそこじゃ、いちばん誠実な坊主だよ」からはじまります。
このとき、彼はほろ酔い機嫌だったせいもあり、「アリョーシャ」が修道院に入りたいと頼んだときも、さほど驚きもしませんでした。
しかし、酔っているので間延びした、「しかし抜目なさや酔払いのいたずら気を失ってはいない薄笑いをうかべ」ていました。
「お前がいずれはそんなことをやるだろうと、ちゃんと予感はしておったがね。おどろいたか?やっぱりそんなところをねらっておったのか。まあ、それもいいだろうさ、お前だって二千ルーブルも自分の金を持ってるんだろうから、それが持参金てわけだ。」
こんな具合に酔払いのくどくどした話しは続きます。
彼は自分も「アリョーシャ」のためだったら、「乞われれば」寄進もすると言いますが、頼まれなかったらする必要はないとも。
結局は口から出まかせでその気はないようですけど。
そして、皮肉っぽく「アリョーシャ」の「金のつかい方なんて、カナリヤと同じで、週に二粒ずつがいいところだからな」とも。
まともに聞く必要もないような酔払いの会話ですが、酔払っているからこそぽつんぽつんと本心が顔をのぞかせるところもあると思います。
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