2016年6月16日木曜日

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「フョードル」のロシア南部での9年間の生活は、ますます彼を荒廃させたようで、女癖の悪さなどは、いままで以上に鼻持ちならぬようになっていました。

ただ、どんな手段を使ったのかしりませんが、お金だけは稼いだようです。

彼はたぶん10万ルーブル、つまり1億円ほどはないかもしれませんが、だいたいそのくらいのお金を手に入れているらしく、郡内一帯にたくさんの飲み屋を持つようになりました。

そして、郡内の多くの住民は、確実な担保を入れてからですが、さっそく彼に借金をするのでした。

彼はお金を貯め込んでじっとしているタイプではなくて、さらに増やそうとしていろんなことに挑戦します。

彼のような人間がお金を増殖するために行動範囲を広げようとすると、何かいろんなところでトラブルが起こりそうです。

最近の彼の様子について、作者は次のように書いています。

皮膚がたるんできて、落ち着きがなく、仕事のけじめを失うようになり、軽薄になり、ひとつのことに集中できず、どことなくだらけてしまい、酒に溺れることが多くなり、めっきり老けこんだと。

そんなどうしようもない「フョードル」ですが、忠僕の「グリゴーリイ」は「ときには哺育係に近いような感じで監督」していました。

「フョードル」も彼がいなければやっていけなかったでしょう。


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