「ソフィヤ・イワーノヴナ」の墓の一件は、「フョードル」にある特殊な影響を与えました。
彼はいきなり、千ルーブル、百万円をひっつかんで、亡妻の法要をするために修道院に行ったのです。
しかし、亡妻といっても「ソフィヤ・イワーノヴナ」ではなくて、かつて「彼をさんざ打ち据え」、あげくに教師とともにペテルブルグに逃げて屋根裏部屋で死んだらしい「アデライーダ」の法要でしたから驚きます。
なぜ、この状況のもとで最初の妻の法要なのでしょうか。
「ソフィヤ・イワーノヴナ」は「グリゴーリイ」が墓を建ててくれたから、それでいいと思ったのでしょうか。
「アデライーダ」からは結婚当初、2万5千ルーブル、2千5百万円もの持参金をまきあげたことに胸の痛みを感じていたからでしょうか。
「フョードル」の気持ちはわかりませんが、その晩、彼は「アリョーシャ」の前で飲んだくれて、修道僧たちをさんざん罵ったそうです。
「フョードル」自身、「宗教とは縁遠い人間で、」と作者は書いています。
彼は聖像の前に、5ペイカ、五円の蝋燭1本もそなえたことがない人間です。
そして、「こういう手合いには、突発的な感情や思考の異様な発作がよくあるものなのだ。」と。
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