2016年6月20日月曜日

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これまでにも「フョードル」のことは、さんざんなことが書かれてきました。

多くは内面的なことでしたが、今度は彼の容姿について具体的に書かれています。

これにより、「フョードル」の顔がはっきりと目に浮かんできました。

以前にも、彼は年齢よりひどく老けこんでしまったと書かれていましたが、ここでは、「ひどく皮膚がたるんできた」と表現されています。

彼の容貌は今や、彼が「これまで送ってきた全生活の特徴と本質とをはっきり証明するような感じを示してきた」のです。

いわゆる、生き方が顔に出る、ということですが、「フョードル」の場合はこれまでの行ないから予想されるようにあまり気持ちのいいものではありません。

具体的に書かれています。

「いつも厚かましく、疑い深く、せせら笑っているような小さな目の下の、たぶついた長いたるみ」
「小さいけれど脂ぎっている顔に刻まれた、無数の深い小皺」
「いやらしいほど好色な印象を与え」ている尖った顎からぶらさがっている「財布のように細長く肉の厚い咽喉仏」
「唇のぽってりした、淫らがましい横長の口」
「話し出すと」そのたびに唾が飛ぶ口は「唇のかげから、ほとんど腐りはてた真っ黒けな歯の小さな欠け残り」

容姿で人を判断するのはよくないことですが、「財布のように細長く肉の厚い咽喉仏」というのが特に印象的でした。


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