「アリョーシャ」の心がとくにときめいたのは、長老の姿に接して祝福を受けようとロシア全土から集まってくる信者たちの群れが、僧庵の門のわきで長老の出てくるのを待っているところへ長老が姿をあらわす瞬間でした。
信者たちは、①長老の前にひれ伏して、②泣き、③長老の足に、長老の立っている地面に接吻し、④感涙にむせび、⑤女たちは自分の子供を長老の方にさしだし、⑥癲狂病みの女たちを連れてきたりもしました。
長老は彼らを言葉を交わし、短いお祈りを読んで、祝福してから、帰してやりました。
一連の流れは、まるでショー化されているようですが、そういうものなのでしょう。
しかし、長老は最近は病気の発作のために、時にはすっかり衰弱しきって、僧庵を出るのもやっとのこともありました。
ですから、信者たちは時には何日間も修道院で長老のお出ましを待っていました。
何ゆえそこまで信者たちは熱心になれるのかと思いますが、「アリョーシャ」にとってはそんなことは疑問にもなりませんでした。
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