2016年7月24日日曜日

115

長兄「ドミートリイ」は弟の「イワン」にたいへん深い敬意を持っているようで、彼のことを話すときは「何か一種特別な」まごころのこもった口調になるのでした。

最近、「あの重大な事件」のことで、「ドミートリイ」と「イワン」は、傍目にもわかるような固い絆で結ばれました。

「アリョーシャ」がそのことを知ったのは「イワン」からではなく「ドミートリイ」からでした。

「ドミートリイ」の感激しきったような「イワン」に対する批評を聞いていると、この二人は「人柄といい性格といい、ひょっとすると、これほど似たところのない二人を考えだすことは不可能ではないかという気がするくらい、際立った対照をなしていた」そうです。

特に兄弟の「アリョーシャ」から見ると不思議でもありました。

この二人は幼いときから別々に育てられたわけですから、兄の性格に反発しながら弟の性格が形成されたということはありませんので、なおさら不思議な感がありますね。

そうすると、考えられるのはやはり母親の違いでしょうか、「ドミートリイ」の母親「アデライーダ・イワーノヴナ・ミウーソフ」は直情的な性格で結局子供を捨てて駆け落ちしてしまいますし、「イワン」の母親「ソフィヤ・イワーノヴナ」は病気になるほど、内面的な複雑な性格でありましたが、子供に対する愛情は深かったようです。


この辺の愛情の違いも二人の性格に少しは影響を与えているかもしれませんが、もちろん性格形成はそこから時間をかけて作られていくものですから、今の二人の性格のこの違いは、やはり不思議なことには違いありません。


0 件のコメント:

コメントを投稿