2016年7月27日水曜日

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「アリョーシャ」はこの会合のことでひどく困惑していました。

彼はみんなが考えているほど単純で素朴な人間ではありませんでしたので、いろいろなことを考え、重苦しい気持ちでその日を待ち受けていました。

そして、彼は、この人々、自分を除く4人の中で、この会合を公正に検討することのできる人間がいるとしたら長兄①「ドミートリイ」だけではないかと思いました。

あとの人たちはみんな軽薄で、おそらく長老にとっては屈辱的な目的でやって来るに違いないと思いました。

つまり、無神論者である②「イワン」と③「ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ」は「たぶんきわめて無礼な好奇心から来るだろうし」、④「フョードル」にいたっては「何かしら道化的な、芝居じめた一幕をねらって」いそうに思いました。

「アリョーシャ」は口にこそ出しませんでしたが、「もう自分の父親を十分なくらい深く知って」いました。

恐らく「アリョーシャ」という人物は、感受性が強く、人を見抜く力がすぐれていたのでしょう。

誰がどういう人であるか、即座に的確に見抜いているように思います。

彼が心の奥でひそかに、家庭内の不和が収まってほしいと願っていたことは疑う余地はありませんが、この会合での最大の心配ごとは、実は長老のことでした。

特に「ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ」のいんぎん無礼な嘲笑と、学識豊かな「イワン」の見くだすような当てこすりで長老の名誉が損なわれることを恐れていました。


「アリョーシャ」には、それらの思わしくない情景がありありと目に浮かんでくるのでした。


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