「アリョーシャ」はあまりの心配のため思い切って、この会合にやってくる顔ぶれについて、前もって、長老の耳に入れておこうとさえ思ったほどでした。
しかし、少し考えてから、黙っていることにしました。
なぜ、黙っていることにしたのでしょう、書かれていません。
たとえば、長老のことを全面的に信じているからでしょうか、それとも何か試してみたかったのでしょうか、告げ口のようで気が進まなかったのでしょうか、公平でないと思ったからでしょうか、そんなことをすれば長老に嫌われるとでも思ったからでしょうか。
ただ、しかし、「アリョーシャ」は会合の前日に「さる知人」を通して「ドミートリイ」に「言伝て」を送りました。
「アリョーシャ」と「ドミートリイ」を結ぶ「さる知人」とはいったい誰なのでしょうか。
「言伝て」は「自分は兄を非常に愛しているし、約束をはたしてくれるものと期待している」との内容の「言伝て」です。
これは、口頭で伝えたのですね。
これを聞いた「ドミートリイ」は「いったい何を約束したのか、さっぱり思いだせなかったので、首をひねり、返事をしたため」ました。
「言伝て」に対し、「ドミートリイ」は手紙を返したのですね。
しかし、実際には「アリョーシャ」は「ドミートリイ」と別に約束などしていないと思うのですが、暗に「ドミートリイ」に変な振舞いはしないようにと釘を指しているように思えます。
そして、「ドミートリイ」は自分は《卑劣な振舞いに対しても》精いっぱい自制するつもりであると、そして自分は長老や「イワン」を深く尊敬してはいるのだが、これには何か「自分に対する罠か、不埒な喜劇が仕組まれていることを確信している」と書かれていました。
それから、手紙の結びにはこう書かれていました。
『いずれにせよ、お前がそれほど尊敬している、神聖なお方に対して礼を失するような真似をするくらいなら、いっそ自分の舌を噛んで死ぬだろう』と。
しかし、「この手紙もさほどアリョーシャには力づけにならなかった。」とのことです。
そうですね、こんな大げさなことを言う人物は正直ではあってもちょっと疑問符が付きますね。
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