二 年とった道化
一行が庵室に入ったのは、来客の知らせをきいてすぐに寝室から現れた長老と、ほとんど同時でした。
庵室ではすでに僧庵の司祭修道士が二人、長老を待っていました。
一人は図書係の神父で、もう一人は「パイーシイ神父」でした。
「パイーシイ神父」はそれほど高齢ではありませんでしたが、たいそうな学者と評判されており、病身でありました。
後で司祭修道士が立ち上げる場面がありますので、この二人は椅子に腰かけていたと思います。
さらにこのほか、普通のフロックコートを着た、見たところ二十二、三歳の青年が片隅に立って長老を待っていました。
彼はその後も終始立ちどうしでした。
彼は、神学校を卒業した未来の神学者で、どういうわけか、この修道院と僧団の庇護を受けていました。
かなりの長身で、頬骨の広い生きいきした顔をしており、細い褐色の目は注意深く聡明そうでした。
そして、顔には申し分ないうやうやしさが表されていましたが、それも露骨なおもねりの色などなく、礼儀正しいものでした。
誰もいない僧庵で計3名の関係者が待ち受けていたのですね。
そして、その名前すら出てこない青年についての描写が続きます。
彼は、「入ってきた客たちに対しても、自分が対等の立場ではなく、むしろ、まだ庇護下にある、一本立ちしていない人間であるとして、おじぎで挨拶することさえしなかった。」そうです。
このような心理描写がこの小説を支えているように思います。
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