2016年8月9日火曜日

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嫌味を言われた「ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ」がそれに答える暇もなく一同は僧庵の中に案内されました。

そして、「ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ」は「いくらか苛立った気持で入っていった・・・」のです。

彼の頭の中には『俺には今からわかってるんだ。いらいらして、きっと議論をはじめるにきまってる・・・そのうち、かっとなって、自分自身も思想も卑しめることになるんだ』と、こんな思いがひらめいたのでした。

この章ではずいぶん「ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ」の人間性がわかるようなことが書かれているのが印象的です。

ここでの彼の頭の中に浮かんだ悲観的な思いは、革命期にパリに行き来していた自分がたぶんおこなってきたであろう多くの人々との議論の中での彼の経験に基づくのではないでしょうか、『俺には今からわかってるんだ。・・・』と言っていますが、そのようにして、いらだって、自分の思想も卑しめてしまった経験が記憶に残っており、今回も頭によぎったのではないでしょうか。


普通なら、自分が苛立っていることが自分でわかっているなら、それをコントロールすることができるとおもうのですが、彼は無理にそういうことをしないようですね。


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