2016年8月8日月曜日

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「フョードル」が過去にこの僧庵のあるところまでやってきたかどうかはわかりませんが、僧庵が美しいバラの花に囲まれているというようなことをどこかで聞き、知っていたかのような書き方です。

そして「フョードル」は表階段をあがりながら、前の「ワルソノーフィイ長老」は「優美なものがきらいで、ご婦人方にさえ、とびかかって杖で殴ったとかいう話ですけど」そのような長老のころにも、このような美しい花はあったのかと、修道僧に質問します。

修道僧は前の「ワルソノーフィイ長老」は時によると神がかり行者のように見えることがあって、それで愚かしい話もたくさんありますが、杖で殴るなんてことは一度もありませんと答え、お取次するので少々お待ちくださいと言いました。

花のことには触れてませんね。

「ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ」はその隙にタイミングを見計らって、「最後に一つだけ条件があります」が、と「フョードル」に言います。

「態度をよくしてくだいよ、でないと思い知らせてあげますからね」と。

「ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ」はそのことばかり気にしていますが、あまりしつこく言われると、逆効果ではないでしょうか。

「フョードル」は、せせら笑って、嫌味を言いました。


「どうしてあんたがそんなに心配するのか、さっぱりわかりませんな」、相手=「ゾシマ長老」は目を見ただけでどういう用件できたか、わかるそうだから、あんたは自分の罪を見抜かれることを恐れているのかな、それならパリ仕込みの進歩的な紳士であるあんたは連中の考えを信じていることになる、「おどろきましたな、まったく!」というようなことを言います。

そうです、「ゾシマ長老」は、「訪れてくる見ず知らずの人の顔をひと目見ただけで」、「訪問者が一言も口をきかぬうちに相手の秘密を言いあててびっくりさせ、うろたえさせ、時には怯えに近い気持ちさえひき起こさせたという。」のですから。


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