結局、話は「フョードル」は気に入られようとして洒落を言ったのが相手に通じなくて失敗したという話なのですが、さらに続きます。
洒落の通じなかった警察署長は、大まじめで突っ立ったまま、まじまじと「フョードル」を見つめていました。
そこで「フョードル」は、自分はみんなを楽しませるために、少し冗談を言っただけで、「ナプラーヴニク」というのは、有名なロシアの指揮者であって、われわれの仕事の和を保つためにも「やはりぜひ指揮者のような存在が必要なものですから・・・」と、なかなか筋の通った説明をしたのですが、と弁解めいたことを言いました。
そうすると、署長は『失礼だが、わたしは警察署長です。わたしの役職を洒落に使ったりするのは許しませんぞ』と言って、くるりと背を向けて、出て行こうとしました。
「フョードル」はそのうしろ姿に叫びました。
『そう、そうですとも、あなたは署長(イスプラーヴニク)さんです、ナプラーヴニクなんぞじゃありませんよ!』
そんなことを言ってももう手遅れで、相手は、『いいや、ああ言われたからには、つまり、わたしはナプラーヴニクなんでしょう』とへそを曲げてしまいました。
これで仕事もぶちこわれてしまいました。
「フョードル」は何をやっても自分はそんなで、いつもお世辞でかえって損をするんだと言います。
以上が、「フョードル」の自虐的な話のその一ということになりますが、いきなりはじまった独演会はその二へと続きます。
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