取り乱して部屋を出ていこうとしかけた「ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ」に対し、長老は言います。
「ご心配なさいますな、どうぞ」と長老は衰弱した足で自席から腰を浮かし、「ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ」の両手をとって、ふたたび肘掛椅子に座らせました。
この「ご心配なさいますな」は、何を心配しなくてもいいと言っているのでしょうか?
文脈から言うと、「ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ」が「フョードル」の仲間と思われることへの心配と、この人を連れてきた(?)せいで、長老に迷惑をかけていることへの心配でしょう。
いずれにしても少しピントがずれています。
そして「落ちつきなさいませ、お願いいたします。あなたには特にわたしのお客になっていただきたいのです」と言って、一礼し、向きを変えて、また自分のソファに座りました。
これが、この会合における「ゾシマ長老」のはじめての発言ですが、すばらしい対応ですね。
「・・・あなたには特にわたしのお客になっていただきたいのです」は相手の気持ちをくんだみごとな言葉だと思います。
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