2016年8月6日土曜日

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修道僧の答えたことについて、「フョードル」は、「してみると、やはり僧庵から女性たちのところへ抜け道が通じてるんですね。いや、神父さん、わたしが何か妙な勘ぐりをしてるなんて思わんでくださいよ。べつに他意はないんですから。」と、とんでもないことを喋りだしました。

修道僧に「神父さん」と敬称で読んでおり、「べつに他意はない」と言っていますが魂胆が見えていますね。

以前に「アリョーシャ」がはじめて「フョードル」に修道院に入りたいと話したときに、酔いがまわってきた「フョードル」が《修道院妻》とまわりから呼ばれている小さな村を郊外に持っている修道院の話をしたことがありましたが、それを思い出したのかもしれませんね。

そして、「アトスじゃ女性の来訪が許されないだけではなく、どんな生き物でも雌はいっさいいけないそうですな、鶏だろうと、七面鳥だろうと、子牛だろうと・・・」と話は続きます。

以前に長老制度の歴史のところでアトスが出てきましたが、「フョードル」は物知りですね。

宗教的ではまったくない彼が、自分の付き合いの中で誰かにそのような話を聞いたのでしょうか。

アトスは女人禁制ということは、有名らしいです。

『芸術新潮』の2016年6月号に「修道士の祈りと記憶の巡礼」というタイトルでアトスのことが書かれてあり、「1400年頃から女人禁制となり、今日までその掟は堅く守られている。家畜も全てオスという徹底ぶり(ネズミを捕獲するために猫だけはメスがいる)。」と書かれていました。


「フョードル」が先ほど「他意はない」と言ったのは、彼にしては実際にそのとき頭に浮かんできた疑問であり、案外本当かもしれないと思い直しました。


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