「永遠の生命を受けつぐには、わたしはどうすればいいのでしょう?」という「フョードル」の質問に対し、長老は目をあげ、微笑して答えました。
十分に分別を持っているのだから、どうすればよいのかは、自分自身でわかっているはずで、「①飲酒や②饒舌にふけらず、③情欲に溺れず、とりわけ④金の亡者に」なってはいけないし、自分の所有する酒場も「全部がむりなら、せめて二つでも三つでも閉店」した方がよいと。
そして「大事なのは、いちばん大切なのは、⑤嘘をつかぬことです」と。
いきなりの質問に対して、すべて相手を見通しているかのようなすばらしい回答だと思います。
①飲酒②饒舌③情欲にふけらず、④金の亡者になってはいけない、そして、全部が無理なら二つでも三つでも酒場を減らすようにと実現可能と思われる具体的な提案をし、⑤嘘をつかないことが一番大切と強調しています。
これだけのことを、とっさに答えられる「ゾシマ長老」はさすがですね。
「フョードル」は、⑤嘘をつかないことと言われたのを、先ほどのディドロについての発言で、自分で行った創作を付け加えたことかと思い、長老に確認します。
しかし、「フョードル」は、それがそんなことでないことを自分で知っていて、そのような皮相な理解をする自分を演出していたのかもしれないですね。
作者は「フョードル」についてそう思わせるだけの複雑な描き方をしているのではないでしょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿