2016年9月29日木曜日

182

いきなり笑いくずれたり、もったいぶった顔つきになったりで、少し情緒のはっきりしない「リーザ」は、今度は急に元気づいた様子になって、「まあ、なんてやさしくて立派な行為でしょう」と叫び、自分はママに、あの人は修行中の身なので絶対に行かないと話していたんだ、と言いました。

そして、「・・・あなたって、ほんとうにすばらしい方!あたしいつもあなたはすばらしい方だと思っていたんです。今それを言えて嬉しいわ!」と褒め称えます。

すると「ホフラコワ夫人」は「リーズ!」とたしなめましたが、すぐににっこりしました。

そして、話を続けました。

たぶん、「アリョーシャ」はこの母娘のところを訪れたときに、また行くと口にしたのでしょう、「ホフラコワ夫人」は、「あたくしどものことも、すっかりお忘れですのね」、「リーズは、あなたとごいっしょのときだけ気分がいいなんて、あたくしに二度も言っておりましたわ」と言いました。

「アリョーシャ」はは伏せていた目を挙げ、突然また赤くなり、自分でもなぜかわからぬまま、ふいにまた薄笑いをうかべました。

「リーザ」だけでなく「アリョーシャ」の挙動も情緒不安定なようですね。

ここでは、「リーザ」は「アリョーシャ」に恋心を抱いており、「アリョーシャ」もまんざらではなく、「ホフラコワ夫人」も「アリョーシャ」のことを気に入っていることがわかります。

もっとも、前からずっと書かれていたのですが、「アリョーシャ」は誰にも好かれ、人を惹きつける何がかあるのです。

「ゾシマ長老」はそんな「アリョーシャ」をずっと観察していましたが、今はもう次の人、「リーザ」の車椅子のわきにいる遠来の修道僧の方に気持ちが移って話に入っていました。



0 件のコメント:

コメントを投稿