「なんて下らない、何もかも下らん話だ」と「ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ」はつぶやきました。
彼はまたしても誰に語るというのでもなく、つぶやいています。
そして、続けて、自分は、ひっとしたら、いつか話したかもしれないが、あなたに話したのではなく、それも人から聞いた話しで、と前言をひっくり返したいいかげんなことを言いだします。
「あれはパリで、さるフランス人から・・・」ロシアでは礼拝式の席で『殉教者列伝』を朗読するということを聞いた、その人は、たいそう学問のある人で、ロシアの統計学を専門に研究し、ロシアの永年暮らしていました、自分自身は『殉教者列伝』なぞ読んだこともないし、読むつもりもない、「だいたい食卓ではいろんな話が出るものでしょうに?わたしらはそのとき、食事をしていたんですからね・・・」と。
「フョードル」は「そう、あんたはそのとき食事をしていた、だけどこっちは信仰をうしなったんですよ!」とからかいました。
「ピョートル・アレクサンドロウィチ・ミウーソフ」は「あなたの信仰なんぞ、わたしには関係ないんだ!」とどなり声をあげそうになりましたが、自分を抑え、軽蔑をこめて「あなたって人は文字どおり、手を触れるものをすべて汚してしまうんですな」と言いすてました。
ふたりとも、周りが見えていないというか、場所をわきまえていないひどい会話ですね。
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