「アリョーシャ」と「見習い僧」は、庵室を出て階段を下りる「ゾシマ長老」を助けるために飛んで行きました。
「アリョーシャ」は息をあえがせていました。
これまでの会合の様子をずっと見ている彼の心中を察すれば無理もないでね。
彼は、ここで部屋をいったん出て行くことになってほっとしましたし、「ゾシマ長老」が別に怒ってもおらず、むしろ快活な様子であることが嬉しく思いました。
「ゾシマ長老」は、面会を待っている人たちを祝福するために渡り廊下に向かいました。
しかし、「フョードル」は、やはりこのままでは終わっていません、庵室の戸口で長老を引きとめたのです。
「聖人さま!」と彼は感情たっぷりに叫び呼びとめました。
そして、もう一度お手に接吻されてください、あなたとなら、話し相手になれる、いっしょにやっていける、わたしはいつも嘘をついたり、道化を演じたりしている訳ではない、わたしはあなたを試すために芝居をしていた、あなたといっしょにやっていけるかどうか探りを入れていた、「あなたの誇りの下で、わたしの謙譲さの住む場所があるかどうかをね。あなたには賞状をさしあげましょう、あなたとならいっしょにやっていけますよ!」そして、もう自分はこれで黙る、今後ずっと口をつぐむ、椅子に座って沈黙する、今度はミウーソフさんがしゃべる番で、主役だ、ただし十分間だけ、と言いました。
彼の言う「いっしょにやっていける」というのは、これから商売でもやるみたいな表現ですね。
そして、「あなたの誇りの下で、わたしの謙譲さの住む場所があるかどうか」という表現も一筋縄では捉えられない内容を含んでいます。
しかし、話の全体としては、とんでもない話には変わりありません。
0 件のコメント:
コメントを投稿