2016年10月13日木曜日

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作者は、この14歳の女の子の微妙な心理を描写します。

「アリョーシャ」をどうしてからかって恥かしがらせているのかね?と「ゾシマ長老」に聞かれた「リーズ」はふいに真っ赤になり、目をきらりと光らせ、おそろしく真面目な顔になりました。

そして、恨めしげな訴えをこめて、突然神経質な早口でまくしたてはじめました。

「だったら、その人はどうして何もかも忘れてしまったのですか?」と、そして、自分がまだ小さかったころは抱っこしてくれたり、いっしょに遊んでくれたりしたのに、長老さまは勉強を教えに来てくてれいたことをご存じないでしょう?二年前に別れるときにも、僕は決して忘れない、永遠の友達だって言っていたのに、今度はあたしをこわがったりするのですもの、あたしが食べちゃうとでもいうのかしら?どうしてそばへ来てくれようとしないのかしら、話をしてくれないのかしら、家へも来てくれないのでしょう?それは本当に長老さまが出してくれないのでしょうか?でも、あたしたちは、その人がどこへでも外出しているのをちゃんと知っています。あたしが呼ぶのは不作法だから、その人が自分から思いだしてくれてもいいはずです、いいえ、だめね、その人は修行中ですものね!長老さま、どうしてそんな裾の長い袈裟をその人に着せたりしたのですか、走ったらころんでしまうわ、と。

そして、彼女は突然こらえきれなくなって、片手で顔を覆い、長い神経質な、声もたてぬ笑いに全身をふるわせながら、抑えのきかぬ様子で笑いくずれました。

「リーズ」は自分の思っていることをすべて表に出したようですね。

「アリョーシャ」は、家庭教師として二年前にこの家に来ていたのですね。

「ゾシマ長老」は、微笑をうかべて彼女の言葉をきき終ると、やさしく祝福を与えました。

彼女は、長老の手に接吻しようとして、ふいにその手を自分の目に押しあて、泣きだしました。

そして、「あたしを怒らないでください、あたしはばかなんです、何の値打ちもない人間です・・・もしかしたら、アリョーシャがこんなおかしな女の子のところへ来たがらないのだって、むりもないんですわ。」と。


「ゾシマ長老」は「必ず行かせますよ」と断を下しました。


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