「ホフラコワ夫人」は、「ああ、なんというすばらしいお話、なんという大胆な尊いお言葉でしょう」と叫びました。
そして、前回会ったときも、娘の「リーズ」のことばかりが話題になっていたようで、今度は自らの心の内面について、前回言い出せなかったことを話しますと言って、話し出しました。
「それにしても、幸福とは、幸福とはいったいどこにあるのでしょう?いったいだれが、自分は幸福だと言うことができるのでしょう?」
これは、その前に「ゾシマ長老」が「・・・人間は幸福のために創られたのですし・・・」と言ったことを受けた疑問でしょう。
そして、彼女は続けます。
あなたは、今日もう一度会うことを許してくれたほどやさしいのですから、あたくしが、この前、すっかり言えなかったこと、言うのをためらったこと、あたくしがずっと以前から苦しみつづけているいることを全部聞いてください、あたくしは苦しんでいるのです、と、「何か熱っぽい発作的な感情に包まれて、長老の前で両手を組み合せ」ました。
「ゾシマ長老」は、「特に苦しんでおられることは、何です?」と問います。
「ホフラコワ夫人」は、幸福とは何かと聞いたのですが、長老は、この抽象的な話には、直接答えることはせず、彼女が何かに悩んでいることを見てとり、このような問いかけをしたのでしょう。
「あたくしが苦しんでいるのは・・・疑いです・・・」
「神への疑いですか?」
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