「ミウーソフ」は度はずれな自尊心と威厳たっぷりな態度で黙っていましたが、人をみくだすような鷹揚な微笑が口もとに浮かんでいました。
この一連の会話の一部始終を見守っていた「アリョーシャ」は、はげしい胸の鼓動を感じ、それは彼を根底から動揺させていました。
「アリョーシャ」は何かのはずみに「ラキーチン」をちらりと見やったのですが、彼はずっと戸口の脇の席に身じろぎもせずに立ち、目を伏せていましたが、注意深く耳をすまし、目をこらしていました。
しかし、「アリョーシャ」は、「ラキーチン」の生気を帯びた頬の赤みで、彼も自分に劣らぬほど興奮しているらしいことを察しました。
「アリョーシャ」は、なぜ「ラキーチン」が興奮しているのかを知っていました。
これはどういうことかよくわかりませんが、「アリョーシャ」はこの神学生と親しくて、彼の思想までわかっていたと前に書かれてありましたから彼にはわかるのでしょう。
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