「イワン」と「ゾシマ長老」の話が一段落といったところで、「フョードル」が口をはさみます。
彼は椅子から跳ね起きて、「神のごとく神聖な長老さま!」と相変わらず大げさな話ぶりです。
「フョードル」は「イワン」を指さして叫びました。
「これはわたしの息子でございます、わが肉を分けし肉、わが最愛の肉でございます!」と。
このような芝居がかった言い方で、次のように話しました。
シラーの『群盗』を引き合いに出して、「イワン」が尊敬できないカール・モールで、今入ってきたのが息子「ドミートリイ」、こちらはもっとも尊敬できないフランツ・モールと言うことになり、きょうは彼のためにお裁きをおねがいしておりますと。そして、自分は領主フォン・モール伯爵ということになるのでしょう、どうぞ判断してお救いください、わたしらはお祈りだけじゃなく、あなたの予言も必要としておりますので、と。
少し後で「フョードル」はまた『群盗』の台詞を言うところがあるのですが、彼の頭の中にしつこく『群盗』が住み続けていたのでしょう。
「ゾシマ長老」は、「愚かしい話し方はなさらぬことです、それに身内の者を侮辱してはなりませぬぞ」と言いましたが、もはやぐったりした弱々しい声でした。
「フョードル」は長老に注意されてばかりですね、しかし全く反省していません。
長老は明らかに時がたつにつれて、ますます疲労の色が濃くなり、傍目にもわかるほど衰弱していました。
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