2016年11月14日月曜日

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「フョードル」は、わが子のお金をくすねて、そっくり全額手にいれていると自分のことを非難していると言って「ミウーソフ」を攻撃します。

「じゃ、伺いますがね」と「フョードル」は続けます。裁判所ってものがあって、「ドミートリイ」の受け取りや、手紙や、取決めなどにもとづいて、「ドミートリイ」のお金がいくらあって、どれだけ使って、どれだけ残っているか、ちゃんと計算してくれるのだよ、「いったいミウーソフさんが意見を述べるのを差し控えているのは、どういうわけだね?この人にとってドミートリイ君は他人じゃないのにさ。」みんなでわたしを悪者にして。総計すると、ドミートリイ君が自分からお金を借りていることになり、それも少額ではなく、何千という額であって、ちゃんと証拠も揃っている。「なにしろ、この大将のどんちゃん騒ぎのおかげで、町じゅうが鳴りひびく始末ですからな!」。そして、前に勤務していたところでは、清純な娘さんを誘惑するのに、千の二千のと札びらを切ったものだし。「ドミートリイ君、すっかりばれてるのだよ、ごく内緒の細部にいたるまでね。証明してみせようか・・・」

ここで「ドミートリイ君は他人じゃないのにさ」と「ミウーソフ」に言っています。

これは「ミウーソフ」が、「フョードル」に育児放棄され召使小屋で暮らしていた「ドミートリイ」をひきとったのですから養父という立場です。

もっとも、ひきとってすぐに自分はパリに行ったりして、面倒は従姉妹などが見ていますから無責任ではありますが、「ドミートリイ」にとっては、たいへんな恩人になるはずです。

「ドミートリイ」は三人の子どもの中で、ただひとりお金の苦労をせずに生活できたのです。

さらに、「フョードル」は「神父さま、実を申しますと」続けます。


そして、「ドミートリイ」が数ある娘さんの中でも高雅で、財産もある、良家の令嬢を夢中にさせたのです。それは、彼の以前の上官で聖アンナ剣十字頸章まで持っているある大佐のお嬢さんなのですが、プローポーズして顔に泥を塗ったんです。そのお嬢さんは、今じゃ、みなし児になられてこの町に来ており、こいつの婚約者になっているのですが、こいつは、そのお嬢さんの目の前で、この町に住むさる妖婦のところに通いつめているんです、と。


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