2016年11月15日火曜日

229

「フョードル」は、「ドミートリイ」が良家の令嬢である婚約者を差し置いて通いつめているというさる妖婦について説明します。

「妖婦とはいえ、さる立派な御仁といわば内縁関係にあったんですが、しかし、自立心の強い気性で、だれにとっても難攻不落の要塞ですから、まあ正妻と同じことでございますね。とにかく操の堅い女ですから。そうなんですよ、神父さま方、身持の堅い女でして!」と。

ここで出てくる「妖婦」というのが、何なのかがよくわかりません。

ネットで調べると「男性を惑わす、なまめかしく美しい女性」とありました。

つまり、ここで言われている「妖婦」というのは、あくまでも商売女ではなく、未婚であって、なまめかしく、美しい女性ということでしょうか。

しかし、「妖婦」の条件としてはそれだけでは何か足りないように思いますが、何でしょうか。

現在では、そのような範疇に属する女性を表わす言葉は存在しないと思いますので、なかなかイメージが掴めません。

そして、「フョードル」は続けます。

ドミートリイ君は、この要塞を黄金の鍵で開けようというつもりだ、と。だから、自分に威張りちらしてお金を巻きあげようとしているわけで、今までにもこの妖婦にもう何千というお金をつぎこんでいる、「それはそうと、だれから借りるとお思いになります?言おうか、どうしようか、ミーチャ?」と。

とうとう「フョードル」の宣戦布告のようですね。

この「フョードル」と「ドミートリイ」の諍いから物語は大きな主題となる展開に繋がっていきます。


0 件のコメント:

コメントを投稿