「ドミートリイ」はそれ以上、話をつづけることができませんでした。
そして、目がぎらぎら光り、呼吸も苦しそうでした。
庵室にいる人たちも「ゾシマ長老」以外はみんな胸を騒がせており、不安な様子で席から立ち上がりました。
司祭修道士たちはけわしい目でにらんでいました。
そして、長老がどうするかを待っていました。
その長老はすっかり蒼白な顔で座っていましたが、それは興奮のためではなく、病気による衰弱のためで、口もとは哀願するかのような微笑が漂っていました。
彼は怒り狂う人たちを鎮めようとするかのように、ときおり両手をあげかけましたが、このごたごたを打ち切らせるためには、もちろん自分がそうすればできたのですが、長老自身がまだ何事かを理解しようと望み、まだ何かしら納得がゆかぬかのように、さらに何かを待ち受けて、じっと目をこらしているといった感じでした。
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