そして、「ミウーソフ」は、このような会話になってしまっていることで、自分自身が卑しめられ辱しめられているような気持になってしまい、「ここで起ったスキャンダルは、わたしら全員の責任です!」とむきになって言いました。
そして、自分は相手、つまり「フョードル」がどんな人間か承知はしていたものの、ここへ来る途中では、こんなことなぞ予想もしていなかったと、「こんなことは今すぐけりをつけなきゃいけない!、長老さま、信じてください、わたしは今ここで暴露されたくわしい事実を正確に知りませんでしたし、信じたくもなかったのです。今になってやっと、はじめて知りました・・・汚らわしい女のことで父親が息子に嫉妬して、その牝犬と共謀して息子を刑務所にぶちこもうとするなんて・・・おまけに、そんな仲間に入れられて、わたしまでここへ引っ張ってこられたんです・・・わたしは欺されたんです。みなさんにはっきり言っておきますが、わたしはほかの人に劣らぬほど欺されたのです・・・」と。
前の「ドミートリイ」の発言で「スキャンダル」という言葉が出て来ました。
つまり、この会合を「フョードル」が計画したのは、「ドミートリイ」との三角関係を自分に有利にしようとするための「スキャンダル」を引き起こそうと言う魂胆じゃないかと言うことです。
「ドミートリイ」はそう思ったのですが、ここで「ミウーソフ」は今進行している事態はすでに「スキャンダル」だと断言しています。
今まで自分のことを無神論者で自由主義者であるとしてそのような態度をとっていた「ミウーソフ」のここでの発言はなりをひそめ、「長老さま、信じてください」と急に長老を持ち上げるような格好になっています。
そして、自分の保身をあくまで保とうとしています。
こんな「ミウーソフ」はいわゆる知識人の典型かもしれません。
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