「ドミートリイ」は恐ろしい剣幕で眉をひそめ、口ではあらわせぬ軽蔑をこめて父をにらみつけました。
「僕は・・・僕は」低い抑えた声で彼は言いました。「心の天使であるいいなずけといっしょに故郷へ帰って、父の老後を慰めようと思っていたのに、見れば父は淫蕩な狒々爺で、下劣きわまる道化役者にすぎなかったんです!」と。
「決闘だ!」と「フョードル」は息をあえがせ、一言ごとに唾をとばしながら、またわめきたてました。
そして、今度は「ミウーソフ」攻撃です。
「フョードル」は言います。「それから、ミウーソフさん、いいですかね」、あんたの一族には、たった今あんたが牝犬よばわりしたあの女ほど高潔で誠実な女性はおそらく一人もいないでしょう、過去にだって一人もいなかったにちがいないさ、と。
これは、「フョードル」の最初の妻で、駈落ちした「アデライーダ・イワーノヴナ・ミウーソフ」のことが頭に浮かんだのでしょう。
そして、続けます。「ドミートリイ君」、君だっていいなずけをそんな《牝犬》に乗り換えたということは、いいなずけはあの女の踵ほどの値打ちもないと、君自身が判断したということわけで、立派な牝犬じゃないか!、と。
会合もこうなったらダメですね。
単なる罵り合いになってしまいました。
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