「許せない、もう許せん!」庵室のいたるところから、声があがりました。
醜態にまで達したこの会合の騒ぎは、次のような意外な幕切れで終りました。
ふいに「ゾシマ長老」が席を立ちました。
「アリョーシャ」は、長老や一同に対する不安からほとんどわれを失っていましたが、それでも、すかさず長老の手を支えました。
長老は「ドミートリイ」の方に歩きだし、すぐそばまで行くつくなり、その前にひざまずきました。
「アリョーシャ」は長老が衰弱のために倒れたのだと思いかけましたが違いました。
長老はひざまずいたあと、「ドミートリイ」の足もとにはっきりした、意識的な跪拝をし、額を地面に触れさえしました。
「アリョーシャ」はあまりのおどろきに、長老が起きあがろうとしたとき、助け起すのが間にあわぬほどでした。
長老の口もとに弱々しい微笑がかすかにかがやいていました。
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