「フョードル」が誰にたいして発したかわからない発言に「ミウーソフ」がすぐに、憎々しげに応酬しました。
「わたしは気違い病院や気違いどもの責任はとりませんよ。でも、その代り、あなたのお付合いはごめんこうむります、フョードル・パーヴロウィチ、いいですか、永久にですよ。さっきの坊主はどこへ行っちまったんだろう?」
「気違いども」とは、「フョードル」と「ドミートリイ」のこと、「坊主」とは、修道僧のこと。
《その坊主》、つまり先ほど一同を院長の昼食に招いた修道僧は、待たせることなく現れました。
みんなが長老の庵室の表階段をおりたとたん、まるでずっと待ち受けていたように、そこで客たちを迎えました。
「ミウーソフ」は、「まことに恐縮でございますが、神父さん、院長さまへわたくしの深い尊敬の気持をお伝えいただいたうえ、このミウーソフが突発的な予期せぬ事情のために、心から熱望しておりましたにもかかわらず、どうしてもお相伴の栄に浴すことができなくなりましたと、お詫び申しあげていただきたいのですが」と苛立たしげに修道僧に言いました。
すると「フョードル」が「その予期せぬ事情とやらは、このわたしのことですな!」とすぐに言葉尻をとらえて言いました。
0 件のコメント:
コメントを投稿