そして、「フョードル」は続けて言います。
「おききになりましたか、神父さん、このミウーソフさんはわたしといっしょに残るのがおいやなんですよ、でなけりゃすぐにでも飛んで行くところなんです。行ってきなさいよ。ミウーソフさん、院長さまをお訪ねして、たっぷり召しあがってくるといい!いいですか、失礼させてもらうのは、あんたじゃなく、このわたしですよ。帰りますとも。帰って、家で腹ふさげをしますさ。ここじゃ倅もおっ立たないような気がするんでね、いとしい親戚のミウーソフさん」
私ははじめて「腹ふさげ」という言葉を聞きましたが、昔の言葉でしょうか、それとも方言でしょうか。
「腹ふさげ」をネットで調べても出てこなくて、いろいろと見ているとこんな情報がありました。
NHK連続テレビ小説『花子とアン』で脚光を浴びた村岡花子は、「丘の家のジェーン」(モンゴメリ著)で、「ミード夫人は早速ジェーンに夕食までの『腹ふさげ』だといってバタつきパンをひときれとイチゴのジャムをくれた」、また、「ミード夫人は朝食までの『腹ふさげ』だと言ってジェーンに大きな厚いドーナツを与え、父さんが階下へおりてくるまで…(以下略)」と「腹ふさげ」という言葉を使って訳しています。
つまり、よくわかりませんが、正式の食事までのお腹をもたせるための食事ということでしょうか。
続いて、「ここじゃ倅もおっ立たないような気がするんでね」と、突然下品な言い回しがあらわれます。
しかし、これもネットで得た情報なのですが、「家で腹ふさげをしますさ。ここじゃ倅もおっ立たないような気がするんでね」というところは、ひとつの文脈で、本来は「家に帰ります、家で食事をすることにします、ここでは(食事をすることは)出来そうにありません」というほどの意味。砕けて訳せば、「ここじゃあ食事なんか咽喉を通りそうにありませんのでね」という感じになるでしょう、とのこと。
だからこの部分は誤訳とのことです。
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