そして、次に「ドミートリイ」の町での風評のようなことが書かれています。
彼の顔にはいくぶん病的に見えるところがありました。
なぜ、そうなのかは町の誰でもが納得しうるような理由がありました。
その理由は二つあります。
一つには彼の《無頼の》生活によるものです。
つまり、ここではまだ詳しく書かれていませんが、彼がこの町で浸りきっている見ていてはらはらさせられるような生活態度です。
それは、この町のだれもが知っていることであって、知らなくてもその噂はみんな知っていました。
そして、もう一つは、父「フョードル」と係争中であるお金をめぐってのことで、彼はそのことで極度の苛立ちに達しているのでした。
このことも町のだれもが知っていましたし、それについてのいろいろなエピソードも巷に広がっているのでした。
そんなことでしたから彼がいくぶん病的な様子であることも無理もないことだったのでしょう。
また、彼が生まれつきの癇癪もちだったことは事実であり、この町の治安判事「セミョーン・イワーノウィチ・カチャーリニコフ」がある集まりで彼のことを《正常を欠く突発的な思考》の持主であると的確に表現したことも事実でした。
つまり、この町で「ドミートリイ」は今ちょっとした話題の人物であったということですね。
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