2016年11月6日日曜日

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「ドミートリイ」が遅刻して現れて「ゾシマ長老」と「フョードル」と挨拶を交わしたりした時間は、せいぜい二分かそこらということです。

その前に話されていた「ミウーソフ」の「キリスト教徒の社会主義者」の話題が中断されたのはわずかそのくらいでしたので、話は再開されると思われたのですが、「ミウーソフ」は「パイーシイ神父」のしつこい、苛立たしい質問に対してはもう答える必要はないものと考えました。

そこで「ミウーソフ」は「この話題はもう勘弁してください」と社交ずれした、くだけた口調で言いました。

そして、「おまけに、この問題は厄介でしてね。ほら、イワン君がわれわれのことを笑っていますよ。きっと今度もあの人には何かしら興味深い説でもあるんでしょう。ほら、あの人におききになってごらんなさい」と。

「イワン」はすぐに、「ちょっとした感想以外、特にこれといってありませんがね」と答えました。

そして「イワン」は続けます、一般的にはヨーロッパの自由主義やロシアの自由主義的なディレッタンチズム、つまり学問や芸術を愛好する人たちの傾向性でさえ、ずっと前から社会主義の究極の結果とキリスト教とのそれとを混同しており、こういう野蛮な結論というのはもちろん特徴的な一面ではあるのですが。先ほどの話だと社会主義とキリスト教を混同するのは自由主義者やディレッタントだけじゃなく、多くの場合それに加えて憲兵もそのようですね。もちろん外国の話ですが。あなたのパリの話はかなり意味深長でしたよ、ミウーソフさん、と。


憲兵と言ったのは、この話がパリで公安刑事の隊長が話した内容ですからね。


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