2016年11月9日水曜日

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「本当にあなたは、不死という信仰が人間から枯渇した場合の結果について、そういう信念を持っておられるのですか?」と、ふいに「ゾシマ長老」が「イワン」にだずねました。

「イワン」は「ええ、僕はそう主張してきました。不死がなければ、善もないのです」と。

「もし、そう信じておられるのなら、あなたはこの上なく幸せか、さもなければ非常に不幸なお人ですの!」と長老は言います。

「なぜ不幸なのです!」と「イワン」は微笑しました。

「なぜなら、あなたは十中八、九まで、ご自分の不死も、さらには教会や教会の問題についてのご自分の書かれたものさえも、信じておられぬらしいからです」

つまり、ここで「イワン」は、神がなければ善も悪もなく何をしてもいいのだと言っており、一方それとは関係なく「ゾシマ長老」はそんな「イワン」を神を信じていないから不幸なんじゃないかと言っているだけのように思えます。

「イワン」は「ことによると、あなたのおっしゃるとおりかもしれません!しかし、それでも僕はまるきり冗談を言ったわけでもないのです・・・」と突然異様な告白をし、みるみる赤くなりました。

この「冗談」というのは、「イワン」の論文でいわれていた国家が教会になるということだと思いますが、彼の内心では神を完全に否定しているのではなく、そうなることを望む心は自分の本心でもあるのだと言っているのでしょう。


つまり、彼が頭で考え常日頃主張していることと、ある一面かもしれませんが論文で言っていることとの矛盾が、「異様な告白」であり、赤面の理由なのでしょう。


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