2016年12月20日火曜日

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「ミウーソフ」は先ほどの自分の言動を自省して神妙な気持ちになっていたのですが、修道院長の食堂に入るときには、よりいっそうその気持ちは強くなりました。

修道院長の住居は、たった二部屋でしたので、食堂はありませんでしたが、長老の庵室にくらべると部屋はずっと広く、便利にできていました。

しかし、部屋の飾りつけは特に立派というわけでもなく、応接セットも二十年代の古めかしい型の皮張りのマホガニー材のもので、床も白木のままでした。

その代わり、何もかもが清潔さにかがやき、窓には高価な花がたくさん飾られていました。

そして、この場の最大の贅沢と言えば、当然のことながら、しかし、それは相対的に言えばではありますが、豪華に用意された食卓でした。

テーブルクロスは清潔そのものでしたし、食器はぴかぴか光り、みごとな焼き具合の①パンが三種類、②ぶどう酒が二本、修道院でとれた上等の③蜂蜜酒が二壜、それに近在でも評判の高い修道院製の④クワスを入れたガラスの水差しが置かれていました。

ウォトカは全然ありませんでした。

あとで「ラキーチン」が話してくれたのですが、この日は五皿の料理が用意されていたそうです。

ということは、「アリョーシャ」と「ラキーチン」は、「フョードル」と「イワン」と「ミウーソフ」と地主の「マクシーモフ」が修道院長のところから飛び出していくのを、少し離れた場所から目撃していますので、当然だれも食事はしていないでしょうし、「アリョーシャ」と「ラキーチン」は食卓を見てもいないのでしょう。

食卓に用意された五皿というのは、⑤鱘魚(ちょうざめ)のスープ、⑥魚をつめたピロシキ、何か一種特別なすぐれた調理法による⑦蒸し魚、⑧鱘魚(ちょうざめ)の捏ね揚げ、⑨アイスクリーム、⑩果物の砂糖煮(コンポート)、ミルク・ゼリーのような⑪プリンという献立でした。

以上が、料理です。

ところで、③蜂蜜酒というのは聞いたことがあるのですが、飲んだことがありません。ネットの通販でもいろいろと販売されていますが、良質の蜂蜜とドライイーストがあれば簡単に作れるそうです。

蜂蜜酒についてウィキペディアの説明(一部)は次のとおりです。

蜂蜜を原料とする蜂蜜酒は、ワインなどよりも古く1万年以上前からあったとされる人類最古の酒である。水と蜂蜜を混ぜて放置しておくと自然にアルコールになることから、発祥は人類がホップやブドウに出合う前の旧石器時代末にまで遡るといわれている。青銅器時代に蜂蜜の消費量が増加したことから、蜂蜜酒の生産がこの頃に拡大していたと推測される。しかし、ビールやワインなどの他の醸造酒が台頭するに連れて蜂蜜酒は日常的な飲み物ではなくなっていった。現在、蜂蜜酒の市場は東欧やロシアが主である。自家生産される地域は中東、エチオピアなどアフリカ諸国、中米からブラジルにかけて点在している。

次に④クワスとは何でしょう。

ウィキペディアでは、東欧の伝統的な微炭酸の微アルコール性飲料。キエフ大公国時代から知られ、現在はウクライナ、ベラルーシ、ロシアなどで好まれている。クワスはライ麦と麦芽を発酵させて作る。また各家庭においてはパンと酵母を原料として手軽に作られる。アルコール度数は1~2.5%、とあります。


また、料理では鱘魚(ちょうざめ)が多く使われていますが、この魚の卵はキャビアですね。


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