この会合の昼食のメニューについては「ラキーチン」があとで「アリョーシャ」に教えてくれたということになっていますが、彼はどうしてそんなことまで知っているのでしょうか。
彼は、好奇心をおさえきれず、以前から顔のきく修道院長の調理場をわざわざのぞいて、嗅ぎだしたのです。
次に、突然ですが、先ほどから辛辣な意見を披露している「ラキーチン」の性格について描写されています。
「ラキーチン」はどこでも顔がきき、どこに行っても情報をつかんできます、そして、いたって落ちつきのない、嫉妬深い心の持主です、すぐれた才能を十分自覚してはいるのですが、持ち前のうぬぼれから神経質なほどそれを誇張してみせるのです。
また、彼と非常に親しくしている「アリョーシャ」を悩ませたのは、彼が、やがて何らかの面で活躍することを自覚しているのでしょうが、不正直なくせに自分ではまるきりそれを意識しておらず、むしろ逆に、自分はテーブルの上のお金を盗むような人間ではないと自覚しているため、きわめて正直な人間とすっかり自分できめてかかっている点でした。
こうなるともう、「アリョーシャ」のみならず、だれであろうと、手の施しようがないにちがいありません。
「ラキーチン」と会話していた「アリョーシャ」の受け答えがぎくしゃくしているように思われたのはそのせいかもしれません。
ひとことで言えば、「ラキーチン」は自分で自分をいい人だと思っている人間だということでしょうか。
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