2016年12月8日木曜日

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「アリョーシャ」の質問について「ラキーチン」は二つの別個の質問であって、この質問は当然の質問でもある、そして、一つずつ別々に答えようと言います。

一つ目は犯罪が起こることを「どうして僕にわかるかって」ことで、「ラキーチン」の答えは、今日突然「ドミートリイ」って人のありのままの姿を一遍で理解したからだ、それは、ある一面のことであるが、ああいう真正直だけれど色好みという人には越えてはならぬ一線があること、それを越えてしまえば、彼は親父さんだってナイフでぶすりとやるだろう、それに親父さんが飲んだくれで抑えのきかない道楽者で、いまだかつて何事にも節度ってものをわきまえたことがない、両者とも抑えがきかなくなって、もろとも溝の中へざんぶりと・・・、と。

「違うよ、ミーシャ、それは違う」と「アリョーシャ」は遮ります。

そして、「それだけのことなら、僕はほっとしたよ。そこまで行きっこないもの」と。

「アリョーシャ」はなぜ「ほっとした」のでしょう、もっと別のことを予想していたのですね。

「じゃ、どうしてそんなにふるえてるんだい?」と「ラキーチン」は言います、そして、「ミーチャ」は愚かであるが正直であって女好きでもある、これが彼の定義であり内面的本質のすべてである、これは父親から卑しい情欲を譲り受けたからだ、と。そして「アリョーシャ」に対し、君にだけはおどろいている「どうして君はそんなに純情なんだろう?君だってカラマーゾフなんだぜ!」君の家庭じゃ情欲が炎症を起こすほどなっていて三人の女好きが今や互いにあとをつけまわし合っているんだ、長靴にナイフを忍ばせて、三人が鉢合せしたのさ、「君はことによると四人目かな」と。

これが、「ラキーチン」は二つ目の質問、「なぜこんなことに、それほど関心がある」かの回答かもしれません。

会話は別方向に流れて、明確な答えというようにはなっていませんが。


「アリョーシャ」だけは、カラマーゾフ家の情欲からは全く離れているように思いますが、「ラキーチン」に「君はことによると四人目かな」と言われました。


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